お  り  べ  

辻が花染めを思わせる、緑と白の色合い。縞萱です。「おっ おりべ・・・」なんて簡単に思ってしまう。
白地に絵付をしたくなるが、無用であることもすぐに悟る。何も足さない何も画かない・・・
どこかのCMみたいなシンプルさもいい、これだけで(イキ)である。
織部は敢てここで筆を執る、(野暮)への挑戦ともいえる。


G.正観堂/個展口上

「人は声や音なしでは暮らせないように 人は沈黙なしでも生きることはできない。」
(瀧口修造) 一度だけ西落合のお宅を訪ねたことがある ガウンを着て奥様とふたり
玄関先まで本が積まれた狭い少し暗い場所で まるで時間がとまったかのように自ら
の近況を語られた ことばが内側からボーッと光を発しているなかに立ち尽くしている
錯覚に陥っていた 器を手にするときの法悦も案外こんなことなのかもしれない