陶片について



それほど多くの陶片をもっているわけではないが、窯跡めぐりは好きだったので自然に地面に落ちて
いたものを拾い集めて勉強の糧とした。(でも、それは不味かったかな・・・。)土味や釉調が温度や酸化・
還元の違いによって変化する様子などを知るには欠かせないものだ。知人から頂いたものも幾点もあ
る。
また、断面を観察すればロクロ挽きの様子もわかる。
この写真は、左上・総織部碗(呼継)、右上・鉄釉振り出し?右下・御深井盃、左下・灰釉皿など。
陽にかざしたり、撫ぜたり、手のひらの上で転がしたり、じっと見つめたり、重さを計ったり、スケッチ
したり、他のものと見比べたり・・・とまるで宝石扱いである。

 

 これは元屋敷窯の沓茶碗、1/4ほどの物。幸い同じ手のものが伝世の写真に見つかったのでほぼ形が
掴めた。図面におこしておおよその寸法をだす。この茶碗だと長径17㎝・重さ600g弱であった。

                         
    

 逆算してロクロ挽き時の寸法をだす。このような仕事ではいつも思いがけない発見がある。釉の下にな
って見えないが触ってみるとうっすらと削って手取りを調整してある。手に取ってみなければまず気付か
ない点が3ケ所あった。そんなとき「ミッケ・・・」なんて小さく呟く。右写真の自作高台右脇に二本へら
削り跡が見える(陶片は高台左側)・・・何気ないものともとれるが指がかりの為の処理であ る。大概が使
い勝手を良くするための 工夫であることが多い。「あるかないか判らないような自分の美意識にスガルナ、そんなものは捨ててしまえ・・・必然性が大切なんだ。」とは 土方巽談。  

 

 

 



 左の写真は、平向付の陶片と僕が作った香合の焼きあがりの
 比較である。陶片の土は半磁器のようなグレーのあがりだが
 1270℃ぐらいで少し還元がかかると(土にもよるが)良く締ま
 ってこの上がりになる。「焼き切つた」という言い方をする。
 長く手元に置いても飽きないし、丈夫で、汚れない。
 ところが、茶碗となると「カンカンに焼かれている」といっ
 て評価しない向きもある。
     「サックリ」はもちろんいいけれど、キュッと焼き締まった
 ところが織部の良さと思っております。
 わび・さび・げんき ・・・  。

 

 この写真は、手塩皿で陶片と自作の高台部の比較である。作っ
 ているうちに自己流になりがちなので時々だしてはこのように
 みくらべる。なぜ、昔のものが好きなのか、ひとつには理にか
 なっていて無駄がないことがある。

 

 

 

 

 

 

 これは岐阜県陶磁資料館で見せて頂いたもの。
 とっくりの内側に本当に薄く且ついい加減に水釉がかけてある
。「どっちかにしろよ!・・・」と言いたくなるが嫌いではない。
なにか理由があるのかと気になる。誰か教えて下さい。
 ロクロ挽きも、大胆であるが手際もいい。こうでありたい。
 徳利ではほかに、もぐさ土の粗いものでどう見繕ってもお酒が
漏れるでしょ う、という同じ手の  ものを見た。桃山の特色の 
一面には、本作と試作の境界 がないことが挙げられる。そこに
素人芸と技巧派のゆるい関係がはから れて  いる・・・気がする。

 

 

       下は赤織部の高杯の皿である。おしゃれです。

 ※この2葉の写真を使っていることを資料館にお伝えしましたら、使用許可願を出してください、という
ことでした。資料館は多治見市美濃焼ミュージアムとなっていましていろいろ規約が変わったのかと思い
ますが、様々お考えがあってのことかとは思うのですが、おそらく莫大な量の陶片が所蔵されてもいるで
しょうしその閲覧や撮影なども敷居を低くしてもらえるとありがたくおもいます。



  窯詰めの時の台。サイズは様々、小は3cmほどか
らある。(大は径10cm) 。これと同じ物が14世紀のタイのスコタイの窯跡から発掘されている。窯も
所謂、日本の穴窯とよく似ている。人的交流があったのかもしれない。(s48発行陶器講座No13・雄山
閣)を参考。
 
  元屋敷の物らしい、登り窯で使った【馬の爪】と呼ばれて
 いる物。 窯詰めの際に器を真っすぐ積み上げるために窯斜面との調整につかった。
  魯山人はこれでタタラの皿の裏を敲いたとか。
 


  匣鉢(さや)の蓋かな? さやは、窯詰で器をなかに
 入れて積み上げていくための道具。16cm角で向付になりそうなサイズだが・・・重い。中折れしていて、
 どうしてもなにか盛ってみたくなる形だ。上に物を置いて焼いた跡が、4ケ所ある。

 

 

これは、大きいものです。底の径が17センチほど・・・
釉の縮れ具合、くっ付き跡などから察するに引き出し
黒の水指ではないかと考えましたがどうでしょう。
こんなあがりの瀬戸黒茶碗はよくあるので「黒」の調
子の基準になります。
大平の産らしいです。

 

 

 

 

 見込みには重ね焼きの跡。そこまでしますか・・・
 というもったいない精神です。

 

 

 

 

 

 

 

底割れしていますが、底の釉を拭った跡も勢いが
あっていいですね。立ち上がりの際もキレイに一
削りしています。

 

 

 

 

 

 

 七

 これは、汁次の注口部分・・・黄味を帯びた釉です。
 「おお・・・くちか・・・」と思って家に帰ってよく見てビックリ・・・・
 口元と中央部分の穴の径が違うのである。中央部を絞り込む
 ことでドッと汁?酒?が出るのを抑制しているのかと考えた・・・
 細やかな気遣いは流石・・・たぶん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


器記に載せたものを転載します。筒向付、平向付、徳利、瀬戸黒・・・中央の高台のあるものは
総釉の茶碗かと思う。引出していないので、柿釉のあがりになっている。

 

 

 

 

つづく