G.正観堂/個展口上

「人は声や音なしでは暮らせないように 人は沈黙なしでも生きることはできない。」
(瀧口修造) 一度だけ西落合のお宅を訪ねたことがある ガウンを着て奥様とふたり
玄関先まで本が積まれた狭い少し暗い場所で まるで時間がとまったかのように自ら
の近況を語られた ことばが内側からボーッと光を発しているなかに立ち尽くしている
錯覚に陥っていた 器を手にするときの法悦も案外こんなことなのかもしれない