の べ お く り

この頃はあまり見ることのない葬送儀礼があった。【諸行無常是生滅法」「生滅々己寂
滅為楽」とそれぞれ書かれた幟が風にはためくさまは、故人の「想い」がその風土に融
け行く場にも見える。けっして豊かではなかったであろう山里のなかに生まれ、また土
に還る。(からだ)という器は、文字どうり燃え尽きはしたが、草葉の陰であるいは空か
らでも子孫を見守る祖霊となる。こんなに風に送られれば本望だろう。宗派・思想はどう
であれ、想いが想いを弔うのである。

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