筒向付という器の種類を知っている人は 案外少ないのかもしれない
・・・ 織部ではその頃随分作られているが 茶席では一器多用の道具として重宝がられてもいたのだと思う。
懐石の盆のうえでは 深い底に少しばかり 珍味を入れて出したとか客は中に何が入っているか分からないので 手にとって覗きこむのでまたの名を ”のぞき” “深向付” とも謂う。
煙草盆にちゃっかり入り込んで 煙草の火だねを入れる”火入れ”になり済ましていたり 聞香の席で”香炉”として手の中に納まっていることもある。
いまでは器の絶滅危惧種のように云われることもあるが・・・。 個人的に好きなので毎回新しい型も作るし 何か新しい使い道は ない物かと 無い知恵を絞って愉しんでいる。
今回も新たに5種型を作った。
現在60種を超えた。
右の写真は、土型。
下も同じ 新規に作った物。
これらの土型を使い 筒向付・火入 はいうに及ばず 銚子・徳利・蓋付の小鉢・豆皿・掛け花入れ・・・などを作って来た。
補) ある著名な料理人の方の話では 7.8分まで砕いた氷を詰めて、そのうえにお造り、あるいは手頃な葉をのせてやはりお造りを盛るという。
魯山人は少し大振りの八角の筒向付を随分作っている、使い勝手が良かったのだろう。形によってはビール杯・湯呑みにも使えるし、ちょっと一輪花を挿しても絵になる・・・などと、使い方など知ったかぶって書くなんて野暮なことだと気づく、使い手が思い付いたことを好きなようにやってみればいいことだ・・・。