あまり絵を買うという習慣はないけれど かわいい絵を買った
京都の若い作家さんで以前から知っていて 素敵なものを作られていると思っていた 大きさは名刺ぐらい 描かれているのは 丹頂という種類の金魚・・・ 紙をちぎって貼っている 額装もご自分でつくられているらしい 作者を髣髴とさせるような可愛らしさがある といっても会ったことは無い この金魚のシリーズは定番で作っているらしくて色々バリエーションがある 作るということは怖いことでその中に作り手のすべてが反映されてしまう 隠しようのないものだ ・・・かわいいと感じるのであるからきっと作者の内面もかわいい人なのだろうと 勝手に想像している 実は人にプレゼントするために求めたのだがはたして気に入ってくれるかどうか 一抹の不安はあったが取り越し苦労だった 取り出して見た途端に 歓喜の声が上がった
赤の色には 魔除けの意味があるらしく そこがまた良かった
おそらくお店の壁に掛かることもありそうだから 厄介な客が現れた時には追い払ってくれることもあるかもしれない 客商売とは兎角思いかけないことに遭遇するものだ 誤解もあればやっかみもある 誠実な仕事をしていてもそうであるから せめて日頃は 無駄口は慎んでおくに越したことは無い 悪意はなくとも言葉の切れ端を摘まんで有りもしない文脈にしたてあげられることもある そんなことばかりを気にしていては生きてゆけないからまあ程々でいいのだが時には縁起担ぎ 神頼みも悪くない
この絵の作者の仕事にはどこか そんなところがある 絵画ともいえるが工芸とも呼べるような慎ましさだろうか 京都という土地柄で育ったせいか これ見よがしの表現に行かず見る側使う側に立った奥行きを備えているような気がする
本来日本の絵画とはそのようなものだったはずだ・・・日々の営みと表裏一体になって成就してゆくものが作ることの背後にあり作り手の成長ということもその中にあった 直観としての理解と時間軸の中での理解 それと身体性を伴う理解が綯われて作品が生まれてくる