森温理 mori onri 作品

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森温理の絵は、ほとんどがパステル画である。
現在確認されている作品数は、1279点。この数は今回出来る限り集めた。

1972年の日記にこのようなことが書かれている。
「・・・パステルは当分すてない。やはりパステルというものをトコトン追求すべきだと思う。惚れた女への心意気みたいなものかもしれぬ。・・・」 惚れた女はともかく、油絵などに比べてその質感が軽くなりがちなパステルで描くということに迷いもあったらしい。この文章はその時のもので、その後ぼくなどには「パステルはね・・・思い付いたイメージをすぐに描き込んでいけるからいいんだ。油絵では時間がかかりすぎてだめなんだ。)と言っていたことを思い出す。
森は一時期小説家を志し、また詩も残している。そのためだろうか絵の背後にある物語的世界も同時に見る側は、観取していることになる。「味わい深い・・・」と好まれる所以はそこにもあると思う。今回学芸員が作品の分類をしたことで、森がどのような意図をもって自らの絵を進化させて行ったかが理解された。
 今回展示される絵には見られた方々、それぞれに絵のタイトルを付けて(付けられる)頂くという試み(楽しみ)もあるという。それは、もともと温理の絵には明確な絵のタイトルを付された作品はないのであるが、絵の所蔵者がそれぞれに名前を付けて呼んでいたことからも察せられるように、温理の作品はたっぷりと言葉(少し詩的な)を内包しているため自然に言葉が浮かんでくるのではないだろうか。

【画集】